2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

参考図書について・『自分と子どもを放射能から守るには』を例に

ベラルーシにあるベルラド放射能安全研究所のウラジーミル・バベンコ副所長による、 2003年にベラルーシで出版された一般向けの著書『自分と子どもを放射能から守るには』 の日本語翻訳版が出版されたので読んでみました。長らくチェルノブイリ原発事故によ…

内部被曝について・風評被害というけれど

まず、以下の新聞記事を読んでください。 (以下引用)福島県、農家にコメ廃棄を勧告●避難準備区域で収穫原発事故により緊急時避難準備区域に指定された地域でコメを作付け・収穫したと して、県は28日、田村市都路町の農業の男性(58)に対し、収穫したコメ…

内部被曝について・食品選びに疲れたときは

食品について、日々気を配り、少しでも安全な食物を探すのは結構神経と 時間を使います。今後も汚染は長く続くので、疲れたときは休んでおき ましょう。これは何も考えずに食品を選ぶのではなく、一日くらいは体と心を休め、 また次の日から注意しよう、とい…

輸入食品の放射性物質検査はどうなっているのか(続き・旧ソ連編)

もう少し早く気づくべきでしたが、7/28付けで以下のような通達(?) が出されていました。「旧ソ連原子力発電所事故に係る輸入食品の監視指導について」 http://www.jfta-or.jp/wordpK/wp-content/uploads/2011/07/110728_sankou.pdf (PDFファイルです)読…

これから気をつけるべきこと・放射性物質の濃縮

「これから気をつけるべきこと」といっても、原発事故はまだ収束していませんので、 原発関連のニュースに気を配りつつ、ということになるかと思います。気をつけるべきこととしては、食品を通しての内部被曝と、放射性物質の濃縮問題、 ということになるで…

線量計の使い方

筆者は複数の社の、食品用放射性物質検出器のデモを見学しています。まとも な会社であれば(それこそ2011年から測定器市場に参入したような会社を除く)、 食品用だけでなく空間用の線量計、いわゆるガイガーカウンターやシンチレー ションカウンターと呼ば…

内部被曝に関して・食品を選ぶ際の線引きの一例

まず、思い出せる限りで構いませんので、一週間自宅で何を食べたかを書き出してください。 その中で、比較的量を多く摂取しているもの、つまり主食と呼べるものについては、汚染度 の低いものに切り替えるだけでも違ってきます。ウクライナ・ジトーミル州ナ…

文部科学省による航空機モニタリングデータの読み方

徐々にではありますが、文部科学省による航空機モニタリングの結果が公表されています。 そのモニタリングについて、新潟県知事が「天然放射線を計算に入れていない」と抗議し ました。これには一理あり、文部科学省による航空機モニタリングの結果は、天然…

輸入食品の放射性物質検査はどうなっているのか(長めの記事です)

輸入食品の放射性物質検査については、東京都は昨年度まで、国による検疫での 測定に、自主的に上乗せして測定していました。昨年度までの、東京都の輸入食品の放射性物質の検査方法は、まずNaIシンチレータ検出器で測定し、50Bq/kg以下であればND(不検出)…

原発由来の放射性物質となぜわかる?

千葉県柏市の市有地から高い数値の放射線が検出された件で、文部科学省は「福島第一原発由来の可能性がある」と調査する意向を示しました。なぜ原発由来とわかるのでしょうか。土壌中から、セシウム134が検出されたためです。セシウム134は、生成過程が原発…

内部被曝に関して・移行係数とは?

「移行係数」とは、土壌中の放射性物質がどの程度作物に 取り込まれるか、を数字で表したものです。 もちろんこのような研究は、従来の日本国内ではほとんど されてきていませんから、海外の文献から引用することに なります。食習慣も違いますので、コメの…

内部被曝の場合の放射性物質の終着点

内部被曝した場合、体内に取り込んだ放射性物質が体内のどの部分に 行き着くかは、放射性物質ごとに違います。主なものは以下の通りです。セシウム(134、137とも)・・筋肉、特に心筋ストロンチウム90・・骨ヨウ素131・・甲状腺 ここで注意すべきは、各放射…

内部被曝に関して・生体濃縮とは?

生体濃縮(生物濃縮ともいいます)は、ある物質が食物連鎖により生物の 体内で濃縮されていく現象です。過去の例としては水俣病が挙げられます。メチル水銀を含んだ工場廃液を そのまま海に排出したため、汚染されたプランクトン→プランクトンを 食べる小魚→…

内部被曝の程度を知ることは可能か

内部被曝の検査方法としては、ホールボディカウンター、バイオアッセイ(尿検査) が挙げられます。しかし、両方ともガンマ線を放出する放射性物質しか検出できません。別記事にも 書きましたが、ガンマ線が最も透過性が高く、人体まで通過するので検出しや…

内部被曝に作用する薬はあるのか

内部被曝に作用する薬としては、ヨウ素131に対する安定ヨウ素剤が よく知られています。ただ、これは予防薬であり、放射性物質である ヨウ素131を体内に取り込む前に服用しなければならず、取り込んで しまってからは効果はありません。セシウム134、137につ…

「生物学的半減期」とは?

「内部被曝の程度を知ることは可能か」の記事中、バイオアッセイ(尿検査) について触れました。尿中に体内の放射性物質の一部が排出されるため このような検査ができるのですが、人体が放射性物質を体内に取り込んでから 排出されるまでを「生物学的半減期…

マスクは放射性物質を通さない?

ここでいう「マスク」は、花粉症の人がつけるマスクを念頭においています。まず、スギ花粉の大きさがだいたい20から40マイクロメートル(1マイクロ メートル=0.001ミリメートルです)、それに対し気体として飛散した放射 性物質は0.01から1マイクロメートル…

天然放射線は常に安全なのか

天然放射線と比較して云々、という専門家(らしい)がいます。 確かに山口県の地質は花崗岩で放射線を出していますし(だいたい 0.22uSv/h)、もっと身近なところでは、バナナに含まれるカリウム が挙げられます。カリウムが怖いからといってまったく摂取し…

なぜ子どもを放射線から守らなければならないか

なぜ子どもを放射線から守らなければならないか。 答えは簡単です。放射線は(特に内部被曝の場合) 細胞を傷つけ、成長途中の子どもは細胞分裂も活発 ですから、傷ついた細胞が分裂して突然変異を起こす 可能性がはるかに高いからです。キャベツ→ブロッコリ…

半減期とは

ただ「半減期」という場合、「物理学的半減期」を指します。 時間の経過により、放射線を発する能力が半分になる期間の ことです。決して、放射線を発しなくなるわけではないので 注意してください。この半減期は、それぞれの放射性同位体によって違います。…

セシウム134とセシウム137の違い

セシウム134とセシウム137、同じ「セシウム」なのに、 どこが違うのでしょうか。これは、同じ元素番号を持つ(セシウムなら55)元素 でも、原子レベルでは原子核の中性子(=その原子の 質量)が異なるものがあるからです。これを「同位体」 といいます。無…

外部被曝と内部被曝

1999年に発生した、茨城県東海村JCO事故をご存知でしょう か。あのときは、核燃料加工中に作業員二人と、隣の事務室 にいた社員一人が放射線を浴び、作業員はお二人とも亡くなり ました。このように、放射線を外部から直接浴びて被曝(細かいよう ですが、「…

放射線の種類

放射性物質から出される放射線にも、いくつか種類があります。ここでは頻出のものを取り上げます。α(アルファ)線 β(ベータ)線 γ(ガンマ)線これらの放射線の違いは何かというと、透過性(物質を通過する 性質)です。これを逆に考えると、何を通過でき…

ベクレルとシーベルトの違い

ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、これらの違いはベクレル・・放射性物質の量(500Bq/kgとは、1キログラム当り放射性物 質が500ある、ということです)シーベルト・・放射性物質から出される放射線の種別(核種といいます) を考慮に入れたもので、人体に影響を及…

放射能と放射線の違い

よく混同されますが、「放射能」と「放射線」は違います。「放射能」は、「放射線」を出す能力のあるものだ、と 思ってください(そのため、今は「放射能」ではなく、 「放射性物質」という言葉がよく使われます)。いわゆる 「死の灰」も、放射性物質を指し…

はじめに〜わからないものは避ける

まず、このブログの方針ですが、「わからないものは避ける」です。劇物も扱う職場にいたため、実際に健康被害を被った例を見聞き してきました。劇物が中に入ったままの機器のハッチを防護用具 なしで開けて劇物を吸い込み、その後一週間分の記憶がない、と …