参考図書について・『自分と子どもを放射能から守るには』を例に

ベラルーシにあるベルラド放射能安全研究所のウラジーミル・バベンコ副所長による、
2003年にベラルーシで出版された一般向けの著書『自分と子どもを放射能から守るには』
の日本語翻訳版が出版されたので読んでみました。

長らくチェルノブイリ原発事故による環境調査に携わってきた、京都大学原子炉実験所の
今中哲二氏が監修されているので、そんなトンデモ本ではないだろうとは思っていました
が、食習慣が違いすぎ、参考にはできませんでした。

ベラルーシの住民はキノコやベリー類を主食にしているので、(キノコ類は調理法に
よっては肉に近い風味になるから、とあり、そういえば日本でのカロリー抑制法で、
ハンバーグにみじん切りのキノコを混ぜる、というのがあったなと思い出しました)
チェルノブイリ原発事故の教訓からキノコ類全般を避けているような人に対しては、
参考以前の問題です。

また、野菜について、酢や塩水の浸透圧を利用しての放射性物質除去、ゆでこぼしての
放射性物質除去についても触れられていましたが、これでは必要な栄養素も除去されて
しまいます。何より葉物野菜を洗ってゆでこぼす、という実験は今中氏の同僚、小出氏
がやはりチェルノブイリ原発事故時にされていますが、カリウム40、ルテニウム103、
ヨウ素131は取れたものの、セシウム137は煮込むくらいゆでても4割近く残った、という
結果が出ています。

*参考図書については、まず目次をざっと見て、実際に使えそうなところだけじっくり読む、
というのが筆者の読み方です。しかし、いわゆる御用学者ではない人が出したものでも、
間違っているときがたまにあるので(例えば、水道水中のヨウ素131は煮沸すれば除去できる、
など。煮沸して水蒸気と共に除去されるなら、その水蒸気が室内に放出されることになり
かえって危険です。ヨウ素131は煮沸しても気化せず、水だけ気化するので、残った水の中に
そのままの量のヨウ素131が残り、結果濃縮したと同じ効果になります)、参考図書はできる
だけ複数目を通していたほうがよいでしょう。しかし読書のために時間をつぎ込むのも得策
ではないので、筆者が読んだものだけでも、随時アップしていこうと思っています。