人類と核兵器、共存不能 核実験被害共通のカザフで語る マーシャル諸島議長

(8/29 05:39 時事通信配信)

【アスタナ時事】太平洋の島国マーシャル諸島の国会をまとめるケネス・ケディ議長は28日、核軍縮国際会議参加
のため訪れた中央アジアカザフスタンで「カザフとマーシャル諸島は、大国の核実験場にされたという一点で結
び付いている」と強調した。マーシャル諸島では米国の核実験が繰り返され、1954年には近くで操業していた日本
のマグロ漁船「第五福竜丸」が被爆した。議長は「人類と核兵器は絶対に共存できない」と訴えている。

首都アスタナで、時事通信社の取材に答えた。カザフ北東部のセミパラチンスクは旧ソ連の核実験場にされた。これ
に対し、マーシャル諸島ビキニ環礁とエニウェトク環礁で核実験を行ったのは「米政府と米軍だ」と議長は語り、
広島・長崎に続く米軍の核爆弾投下がマーシャル諸島で繰り返された点を強調した。

実験が行われたのは46〜58年。計67発の核爆弾が爆発した。最も威力が大きかったのは、第五福竜丸を襲った54年の
実験だ。議長は「54年の実験『ブラボー』で爆発させた水爆『シュリンプ』は(高性能火薬TNT換算で)15メガトンだ。
広島の原爆(15キロトン以上と推定)の1000倍だ」と述べ、ビキニ環礁の東方にあり、第五福竜丸と共に死の灰を浴びた
ロンゲラップ環礁の住民を忘れないでほしいと訴えた。

核実験が続いた12年間について「広島の原爆1.6発分を毎日落とされたのと同じ規模の実験が行われた。(日本では)
広島に続いて長崎に原爆投下が繰り返された。マーシャル諸島では最初の投下に続いて全部で67回、同じことが繰り返
された」と米国を批判。「それが今、カザフに私たちが来ている理由だ。同じことを繰り返してはいけない。マーシャル
諸島はもう十分苦しんだ」と世界に呼び掛けた。