進まない核軍縮に苛立ち NPT加盟、非核宣言 被爆国日本に期待・カザフ会議

(8/30 07:17 時事通信配信)

【アスタナ】カザフスタン旧ソ連崩壊後、核兵器廃絶に向け一歩ずつ進んできた。

旧ソ連が残した核兵器の放棄に応じ、非核化地帯を宣言した。一方でセミパラチンスク核実験場の汚染被害
と今も苦闘する。しかし、こうした取り組みが、隣国ロシアを含め世界の核軍縮に結び付いていない。29日
に首都アスタナで開催した核軍縮国際会議は、苛立ちの表れでもある。

◇核問題解決の手本
1991年のソ連崩壊後、カザフはウクライナベラルーシと並び「核保有国」となった時期がある。ソ連
カザフ国内に残した核弾頭は1000発を超えていたが、全てロシアに移送。

同時に国連安保理常任理事国5カ国以外には核兵器保有を認めない核拡散防止条約(NPT)に加盟した。さらに
10年前の2006年9月、カザフと、同じ中央アジアウズベキスタンキルギスタジキスタントルクメニスタン
はそろって非核地帯化条約に調印した。5カ国代表が集まった場所はセミパラチンスクだった。調印国は核兵器
開発・生産・使用・配置を禁止する。中央アジアは、南極、カリブ海中南米、南太平洋・オーストラリア、
東南アジア、アフリカと並び、世界で6番目の非核地帯となった。

29日の会議を共催した核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)のアラン・ウェア国際コーディネータは、地元紙アスタナ・
タイムズに対し「カザフは『核兵器のない世界』に向けて前例をつくってきた」と称賛した。韓国の朴槿恵大統領も
13年、北朝鮮の核問題に関し「カザフを手本に、正しい方向に進むよう望んでいる」と述べたことがある。

保有国に包囲
しかし、最近は中央アジアの不満が顔をのぞかせることもある。中ロ両国と中央アジア5カ国で構成していた上海協力
機構(SCO)の首脳会議は6月、インドとパキスタンの加盟協定に調印したが、昨年のSCO首脳会議では中央アジアから
「パワーバランスを変える」(ウズベクのカリモフ大統領)と印パの加盟に異論が噴出した。中ロ印パという核保有
中央アジアが包囲される格好になるのを嫌ったとみられる。プーチン大統領の説得で印パ両国の加盟は実現したが、
中央アジアの不満は消えていない。

こうした中でカザフは「唯一の被爆国」と自らを呼んできた日本との一層の連携強化を期待する。カザフ外交筋は「広島
や長崎の4年後、同じ8月にソ連初の核実験でカザフの草原にも原爆が投下された。以来、広島の原爆の2500発分に相当す
る核実験が繰り返され、影響は被爆者の子、孫に及んでいる」と語る。カザフにも日本と似た核兵器の被害が存在すると
訴えている。