高浜原発で防災訓練 住民7千人参加、初の県外避難も

(08/27 18:23 時事通信配信)

関西電力高浜原発福井県高浜町)で重大事故が起きたと想定し、政府と福井、滋賀、京都3府県など
は27日、合同で原子力防災訓練を実施した。関係機関のほか福井、京都の住民約7200人が参加し、福井
から約230人が兵庫県内に避難した。福井からの県外避難訓練は初めて。

政府は昨年12月、高浜原発の広域避難計画を了承しており、訓練で実効性を検証した。今後、課題や成
果を取りまとめ、計画を改善させる。

訓練は、若狭湾沖で発生した震度6弱以上の地震で高浜原発3号機の全交流電源が失われ、放射性物質
放出されたと想定した。

原発5キロ圏の高浜町の住民は県内外に避難。子どもを含む146人がバスや町の公用車で、舞鶴若狭自動車
道を通って兵庫県宝塚市などを目指した。5〜30キロ圏の85人は兵庫県三田市丹波市に逃れ、京都府
では5市町410人が府内に避難した。視界不良のため陸上自衛隊の大型ヘリによる住民輸送が中止になる
などしたが、大幅な避難の遅れはなかったという。

高浜町から約130キロ離れる宝塚市役所には同町の住民80人が避難した。バスが正午すぎに到着すると、
市職員は受け付けや健康状態のチェックといった受け入れ時の対応を確認した。

同市役所に避難した農業山本仁士さん(61)は「計画を体験できてよかった。参加する一人一人が繰り返し、
考えていくことが必要」と振り返った。会社員今田利正さん(66)は「移動距離は遠く感じず、誘導にも
問題はなかった。課題は回数を増やして修正していけばいいと思う」と話した。

避難計画が必要な高浜原発の30キロ圏には福井など3府県が含まれ、約18万人が生活する。高浜3、4号機は
広域避難訓練を行わないまま今年1〜2月に再稼働したが、大津地裁の仮処分決定で停止している。