「やっと声に出し喜べる」 新元素「ニホニウム」 森田さん

(6/9 9:42 時事通信配信)

理化学研究所などのチームが合成に成功し、命名権が認められた113番元素の名称案「ニホニウム」の公表を受け、
理研森田浩介グループディレクター(九州大教授兼任)は9日、「共同研究者とも、やっと口に出して喜べる」
と笑顔を見せた。

9日朝、新元素合成の舞台となった理研仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)を視察に訪れた馳浩文部科学相
を案内した森田さん。名称案は3月末までに国際純正・応用化学連合IUPAC)に提出していたが、8日夜まで公表
を禁じられていた。

4月に首相官邸で発見の概要を説明した時も名称案は言えなかったといい、「胸のうちにためていた名前を、きょう
から『ニホニウム』と言えるところが大変、大変うれしい」と喜びを表現した。

日本の国名をそのまま元素名に使った思いを問われると、「基礎研究をさせてくださっている国民の皆さんに少しでも
恩返しができる」と説明。「周期表を見て、そこに日本のグループが作った元素があるんだと気づいてくれて、少しで
も理科が好きな子が増えれば望外の喜びだ」と話した。

研究グループは113番元素合成に関する論文や、命名提案書などに「原発事故で傷ついた福島の人々にささげる」と加え
た。森田さんは「原子力発電も原子核を扱っている。(基礎科学が専門で)工業的応用は分からないが、非専門家といっ
て逃げてはいけない
。われわれができるのは科学の信頼を回復することだ」と説明した。