核燃サイクル曲がり角? 揺れる青森県下北半島


原子燃料サイクル施設=2012年10月27日、青森県六ケ所村

(11/25 河北新報配信)

原子力関連施設が集中する青森県下北半島に戸惑いが広がっている。日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(同県六ケ所村)は
通算23回目の完工延期が決定。高速増殖炉もんじゅ」(福井県敦賀市)で廃炉の可能性が浮上するなど、国の核燃料サイクル
政策の行方も不透明だ。立地する原発の運転再開は見通せず、地元関係者は経済的影響への懸念を強めている。「万が一にも、
再延期がないようにしてほしい」。日本原燃が再処理工場などの完工時期延期を明らかにした今月16日、地元・青森県六ケ所村
の戸田衛村長は、村役場を訪れた原燃幹部に強く釘を刺した。

3日前、原子力規制委員会もんじゅの運営主体の見直しを文部科学省に勧告。対応によっては廃炉議論が本格化する可能性が
出てきた。もんじゅの存廃は再処理工場の存在意義を左右する。戸田村長は「新たな体制がどうなるのか。推移を見守りたい」
と言葉を選んで話した。下北半島には使用済み核燃料の中間貯蔵施設、原発なども立地する。エネルギー政策の先行きが見通せ
ない現状に、地元関係者は焦りを募らせる。

背景には原子力関連産業への依存度が高い地域経済の停滞がある。地元商工団体などでつくる青森地域エネルギー施設立地商工
団体協議会が12日に六ケ所村で初めて開催したフォーラムでは、苦境を訴える声が相次いだ。運転停止中の東北電力東通原発
立地する東通村の商工会では、東日本大震災前に約250人いた会員が約200人に減少。事業者の倒産が4件、廃業が十数件あった。
川村寛会長は「地域の経済は壊滅的だ」と危機感をあらわにした。

原子力関連施設があるむつ市大間町東通村、六ケ所村の4首長は来年2月にも核燃料サイクルの堅持や立地地域への財政支援
などを国に要望する方針だ。宮下宗一郎むつ市長は「核燃サイクルは見直しを迫られているが、国の(推進の)方向性はぶれて
いない」と強調。「大消費地のエネルギーを支える地域の声、実情を発信し続けることが必要だ」と語った。