視覚に訴え、遊具も 原発問題点触れず 浜岡、東海第2・PR館

(9/20 02:38 時事通信配信)

見学者が年々減っている原発PR館。
それでも2014年度は全国で80万人以上が来館している。どんなところなのか、実際に訪ねてみた。

9月13日の日曜日中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の敷地内にある「浜岡原子力館」に入った。14年度の見学者数は約20万2000人で、
全国のPR館で最多。駐車場には50台以上の車が並ぶ。親子連れの姿が目に付き、館内には滑り台もある。モニター画面や模型などが多く、
視覚に訴えるつくりになっている。

地球環境について解説するコーナーがあり、温暖化や酸性雨に警鐘を鳴らしている。資源にも触れ、「石油の残りは約40年分、富士山の
8分の1杯分しかない」と例えている。ただ、石油連盟によると、採算性などを加味して採掘可能と見積もられている期間は60年弱で、枯渇
するわけでもないという。

使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出し、通常の原発で再び使う「プルサーマル」の紹介では、「今の原発で安全に使用できます」
と説明。展示ボードでは「浜岡でいつから始まりますか? 」との問いに、「4号機で実施する計画です」と返しているが、時期は示していない。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定が難航していること、廃炉で出るごみの行き先が決まっていないことなど、問題点に触れた展示は見当
たらなかった。

16日の水曜日に訪れたのは、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)のPR館「東海テラパーク」。 午前9時開館だが、同10時半すぎに到着
した記者がこの日初めての見学者だった。

ミニシアターでは約10分間の映画を上映。東京電力福島第1原発事故に触れ、東海第2の安全対策を紹介しているが、原発の発電比率の説明は
事故前の3割のまま。「もっと原子力について知ってほしい」と訴えていた。

廃炉になった東海原発の解体作業を紹介するコーナーもあるが、「発生する廃棄物は国が定める濃度のレベルに応じて適切に処理処分します」
と触れるのみ。計画から既に8年も遅れていることの説明はなかった。