被災鉄道、復旧へ前進 石巻線は3月全線再開 原発近くは代行バス・東日本被災地

(01/02 14:31 時事通信配信)

東日本大震災津波で大きな被害を受け、長期間の運休が続く東北地方の太平洋沿岸部の鉄道で、復旧へ向けた動きが加速
している。震災から間もなく4年。全線で運行が再開したり復旧方針が決まったりし、地域の足は着実に戻りつつある。一方、
見通しが立たない区間もあり、早期復旧が急がれる。

津波で駅やレールが流され不通が続く岩手県のJR山田線宮古―釜石間(55.4キロ)。復旧に向け地元自治体やJR東日本が協議
を重ね、同線を間に挟むように運行する第三セクター三陸鉄道へ移管することが決まった。復活を求めてきた山田町の自営
業松本竜児さん(62)は「時間はかかったがよかった。通学にも便利」と歓迎する。ただ、人口減少が進み街づくりもこれか
らが本番。「鉄道をうまく利用して地域に人を集めたい」

宮城県内を走るJR石巻線では、ルートを内陸側に移した浦宿―女川間(2.4キロ)が3月に運行を再開し、全線復旧する。新た
女川駅には町営温泉施設を併設。周辺には商店街が整備されるなど街づくりと一体で計画を進めてきた。駅近くの災害公営
住宅に住む今泉千代克さん(77)は「バスは時間がかかって不便。3月が待ち遠しい」と話す。

一方、大船渡、気仙沼両線では沿線住民の足を確保しようと、JR側が仮復旧策として専用レーンなどを走るバス高速輸送シス
テム(BRT)を導入。ただし「あくまでも代替交通」(岩手県)で、鉄路復旧を求め協議を続ける。

東京電力福島第1原発事故が起きた福島県内では、原発に近い竜田(楢葉町)―原ノ町南相馬市)間で2月から1日2往復で代行
バスの運行がスタートする予定。帰還困難区域にもバスが走ることになる。今後は放射線量や路線の被害状況を調査し、復旧方
針の検討に動きだす方針だ。