被曝線量、引き上げ検討 原発緊急事態対応で 作業員意思確認も議論・規制委

(07/30 12:08 時事通信配信)

原子力規制委員会は30日、原発で重大事故などの緊急事態が発生した際に、作業員らの被曝線量上限値に関して現行の100ミリシーベルト
から引き上げる必要があるか検討を始めることを決めた。田中俊一委員長が同日開かれた定例会合で提案し、了承された。

東京電力福島第1原発事故では、作業員らの線量上限値が100ミリシーベルトのままでは対応できないとして、急遽250ミリシーベルトまで
引き上げられた。田中委員長は「国際的には500ミリシーベルトということもあり、検討してはどうかと思う」と述べた。

国際原子力機関IAEA)は「救命活動」や「壊滅的状況への発展を防止するための活動」に関して被曝線量を500ミリシーベルト未満とする
推奨値を示している。また、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告は、救命活動に関して線量制限を設けていない。

被曝線量は100ミリシーベルトで癌を発症して死亡する確率が0.5%上昇し、線量が多いほどリスクが高まるとされている。

田中委員長はまた、「被曝する作業員の意思を確認する方法などを検討しておく必要がある」と述べた。今後、規制委で海外の事例などを
参考に議論し、上限値を引き上げる場合は放射線審議会に諮問する。