1号機建屋カバー撤去できず 福島第1、放射性物質の飛散対策不十分

(7/28 14:36 msn産経ニュース配信)

東京電力福島第1原発事故の廃炉作業で、1号機の瓦礫撤去に向けた建屋カバーの解体工事が1カ月近く遅れている。3号機の瓦礫撤去の
際に大量の放射性物質をまき散らしたことが判明し、飛散抑制対策が不十分であると政府が指摘しているためだ。福島県などは工事の
影響を考えて放射性物質の監視装置を周囲に増設する方針を決定。ただ飛散抑止の抜本対策はないのが現状で、カバー撤去が進まない
廃炉工程全体への遅れにもつながる。

水素爆発があった1号機の原子炉建屋最上階には、放射性物質に汚染された瓦礫が積もっている。放射性物質の拡散を防ぐために平成23年
10月、建屋カバーを建設したが、廃炉作業を進めるためにカバーを取り除くことが決まっていた。

しかし昨年8月に行った3号機の瓦礫撤去作業で、放射性物質を含む塵や埃が巻き上がり、福島県南相馬市ではコメから基準値以上の
放射性物質が検出された。東電は今月23日、最大1兆1200億ベクレルの放射性セシウムが飛散したとの推定値を公表。当初、1号機の
瓦礫撤去は今月初旬にも開始する予定だったが、原子力規制委員会は「飛散防止を十分にしなければ1号機の工事は着手できない」と
指摘した。

東電は飛散抑制対策として、作業時に散水したり、塵を吸引する局所排風機、防風シートを導入。設備機器の開口部をふさぐため
大型の風船も用意した。

ただこれらの対策の効果は不透明だ。福島県廃炉安全監視協議会は今月17日、原発を視察した上で「飛散を防ぐ万全の対策と十分な
情報提供を」と求めた。

屋外での作業となるため、強風などで放射性物質が飛散するリスクを抱えており、東電は「ステップ・バイ・ステップで慎重に進め
ていきたい」としている。(原子力取材班)