「検討」に不満相次ぐ 中間貯蔵の住民説明会開始 政府

(05/31 18:58 時事通信配信)

東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設に向けた政府による住民説明会が31日、
始まった。環境省は建設候補地の福島県大熊、双葉両町の住民らに対し、施設の安全対策や用地買収時の補償などに関す
る方針を提示。ただ、買収以外に土地の賃貸借も認めるかどうかなどの質問に「検討する」との回答にとどめる場面も
目立ち、出席者から不満が相次いだ。

説明会は6月15日までの間、両町からの避難者が多い6都県で計16回開く予定。地元自治体は住民の意見を踏まえて建設
受け入れの是非を判断することになる。31日は福島県いわき市茨城県日立市で開催し、計約600人が参加した。

環境省の藤塚哲朗中間貯蔵施設チーム長は日立市の説明会で「施設は福島県全体の除染と復興の推進に必要不可欠。多
大な被害を受けた皆さんが長年生活を育んだ土地に造ることをお願いし、心苦しく思う」と述べた。

環境省は、▽用地買収時の補償▽貯蔵開始から30年以内に汚染土を県外で最終処分する政府方針の法制化▽地域振興に
使える交付金創設―などの考え方を説明。施設建設に理解を示す参加者もいた一方、「『30年で県外に』と言っても眉
唾ものだ」「(賃貸借を)検討したが、だめだったということもあるのではないか」などの声が出た。

伊沢史朗双葉町長は説明会終了後、記者団に「検討するということには、きちんとした回答を求めたい」と強調。渡辺
利綱大熊町長は「具体的な回答がほしいというのが町民の率直な意見。(説明会は)あくまで第一歩だ」との認識を示
した。