9割避難に最大29時間 川内原発の30キロ圏 鹿児島県が試算公表

(05/29 17:03 時事通信配信)

鹿児島県は29日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)で重大事故が起きた場合、半径30キロ圏内の住民の避難にかかる
時間を試算したシミュレーション結果を公表した。住民21万人の9割が避難するのに、最大で約29時間かかるという。

原子力規制委員会川内原発の安全審査を優先的に進めており、全国で停止中の原発のうち再稼働第1号になる可能性が高い。周辺自治
体は試算を参考に避難計画の整備を急ぐが、住民の理解を得られるか疑問視する向きもある。

試算は、原発から半径5キロ圏の住民が事故後すぐ30キロ圏外に避難した後、5〜30キロ圏の住民に避難指示が出たと想定。天候や時間帯、
観光シーズンなど条件を変えて13パターンにまとめた。

住民が自家用車に2人ずつ乗って避難し、5〜30キロ圏の4割は避難指示が出る前に逃れたと仮定した場合、高速道路が使えなければ避難に
28時間45分かかる。

30キロ圏内では1キロ当たり100台超の渋滞が6カ所発生。住民の9割が避難した後も、自宅にとどまる人や渋滞で避難が遅れる人が1割おり、
渋滞が全て解消されるのはさらに約7時間後とした。

一方、車1台に4人が乗り、渋滞6カ所で交通誘導をした場合は、9時間45分で9割の避難が完了。1台に乗り合わせる人数が多く、誘導があれ
ば避難時間は大幅に短縮できると結論付けた。