原発30キロ圏、自治体困惑 避難試算「住民納得するか」 鹿児島

(05/29 17:55 時事通信配信)

全国で最も早く再稼働する見通しの九州電力川内原発で重大事故が発生した場合の避難シミュレーションを、鹿児島県が29日公表した。
ただ、高齢者や障害者など援護が必要な人の避難や、災害や事故で複数の道路が遮断される事態は考慮しておらず、自治体ごとの避難
時間も示していない。原発の半径30キロ圏で事前の避難対策が必要な「緊急防護措置区域」(UPZ)の自治体からは「住民にどう伝えれ
ばいいのか。納得してもらうのは難しい」と困惑する声が多く聞かれた。

県は前日の28日、各自治体の防災担当者らに試算結果を説明。「避難計画の見直しなどに活用してほしい」と求めた。
30キロ圏で最初に避難計画の住民説明会を実施した出水市。4月24日の説明会では、住民から「避難所までの時間はどれくらいか」「原発
事故と地震などの複合災害が起きた際に避難できるのか」と質問が出ていた。市安心安全推進課の担当者は「市町村ごとに決まっている
避難所までの時間が示されると考えていた。この結果では住民に説明するのは難しい」と頭を抱える。県に自治体ごとの試算を要望すると
いう。

川内原発がある薩摩川内市に隣接するいちき串木野市も「具体的な試算があれば避難計画で対応しやすくなるが、この内容では難しい」と
困惑気味。担当者は「交通誘導があれば本当にスムーズにいくのか、要援護者やバスで避難する人たちなどはどうなるのか。疑問は尽きな
い」と漏らす。