苦闘の跡、今も 中央制御室を初公開 暗闇で水位記録・福島第1

(02/26 17:33 時事通信配信)

東京電力は26日、福島第1原発事故から来月11日で3年を迎えるのを前に、同原発1、2号機
の中央制御室を報道各社に初めて公開した。津波で電源を失い、運転員が暗闇の中、原子
炉の水位を計器の横に書き留めた跡が今も残っていた。

中央制御室は24時間態勢で原子炉を運転・監視する中枢施設。1、2号機では各タービン建
屋に挟まれたコントロール建屋にある。

海側の入り口から建屋に入った。仮設照明がつるされた狭い通路に、黒いホースとケーブ
ルが引かれている。壁の一部が崩れている所も。中央制御室は2階の奥にあった。

正面から見て右側に1号機、左側に2号機の制御盤がある。床は放射性物質で汚染されている
ため、ピンクのシートが張られていた。

東電によると、2011年3月11日の地震発生時、1、2号機中央制御室には当直の運転員ら24人が
いた。津波の襲来で電源が失われると、制御盤のランプが点滅し一斉に消えた。運転員らは車
のバッテリーをかき集めて制御盤につなぎ、まず原子炉水位計を復旧させた。

「+40cm」「+50cm」。いくつかの水位計の横に、鉛筆で書かれた時刻と数字が今も残ってい
る。事故直後、懐中電灯の明かりを頼りに、当直員らが記録したという。

その間も原子炉では炉心溶融メルトダウン)が進んでいた。翌12日午前2〜3時には、中央制
御室の放射線量が毎時1000マイクロシーベルトに上昇。同午後3時半すぎ、1号機原子炉建屋で
水素爆発が起きた。

現在、運転員は常駐せず、免震重要棟から遠隔操作で計器を監視している。取材時の線量は同
4〜9マイクロシーベルトだった。