理科授業で放射線教育 「子どもに正確な知識を」 福島の中学教諭・教研集会

(01/25 19:43 時事通信配信)

滋賀県内で開かれている日本教職員組合日教組)の教育研究全国集会の分科会で25日、
福島県伊達市の中学校の佐藤雄一教諭(50)が、東京電力福島第1原発事故後に行った
放射線に関する教育について報告した。

きっかけは、生徒が県外の人から「放射能がうつる」などの心ない言葉を掛けられたこ
と。「正確な知識を身に付けてもらいたい」と、3年の理科の授業で放射線とは何かや
発癌リスクなどの人体への影響、原発の仕組みや日本の電力事情などを計5時間にわたり
取り上げた。

気を付けたのは、原発に反対する自らの考え方は伝える一方で、中立の立場で教えること。
「一方的な授業では、『安全だ』と繰り返してきた推進派と全く同じだ」と考えた。

100人余りの生徒へのアンケートでは、授業の前と比べ「放射線の何に気を付けていいか
分からない」という回答が3分の1に減る一方、健康への影響を「すごく不安だ」とする答
えが3倍近くになった。「もう2年たったから大丈夫だろうと思っていたが、そうではない
と分かった」という生徒もいた。

佐藤教諭は「福島では放射線を浴びるのは防ぎようがなく、その中でどう健康管理していく
かを考えた。これからも続けて、子どもたちを守りたい」と話した。