東電再建、「原発頼り」に危うさ 再稼働で地元理解欠かせず

(12/27 16:20 時事通信配信)

東京電力が27日に政府に提出した新たな総合特別事業計画(再建計画)は、柏崎刈羽原発
新潟県)を2014年7月以降に順次再稼働させ、火力発電の燃料費を削減することが柱だ。
運転再開に地元自治体の理解が欠かせないが、新潟県泉田裕彦知事は再稼働に反対。原
発停止が長引き、収支改善の前提が崩れる事態も否定できず、再建計画には危うさも漂う。

東電の燃料調達費用は、12年度に2兆7885億円と10年度の2倍近くに急増。13年度も高水準
で推移し、業績悪化の主因となっている。

東電は新再建計画に1000人規模の希望退職募集など経営合理化策を盛り込んだ。もっとも、
12年度の人件費は3458億円と10年度から2割減少。東電幹部は「いくらリストラをしても、
燃料費を圧縮しなければ経営再建は絵に描いた餅」と語る。

柏崎刈羽原発6、7号機は1基再稼働すれば、最大年2000億円超の燃料費を削減できる。東電
は9月、両機の安全審査を原子力規制委員会に申請。両機が14年7月に再稼働すれば、14年度
は1000億円規模の経常利益を確保できると見込む。

ただ、泉田知事は25日の記者会見で「福島事故の検証と総括が先で、再稼働の議論はその後
だ」と強調。「真摯に地元に向き合ってほしい」と、前のめりの東電を牽制している。同社
は6、7号機が動かなければ、14年度は経常損失に陥ると試算している。

東電は柏崎刈羽の全7基の再稼働を目指している。しかし、地元の反発に配慮し、新再建計
画では2〜4号機が停止したままのシナリオも想定している。