超電導ケーブルの実証試験開始 国内初、省エネ技術に期待 NEDOなど

(2012-10-29 18:25 時事通信配信)

新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)などは29日午後、高温超電導素材で作られたケーブルを実用
の送電線につなぐ国内初の実証実験を、東京電力旭変電所(横浜市)で始めた。1年間運用し、信頼性や安全
性を検証する。

発電所で作られた電気は、送電線の電気抵抗などにより家庭に届くまで約5%が失われる。電気抵抗がゼロに
なる超電導ケーブルが実用化すれば、損失を大きく減らすことが期待される。
NEDOは東電、住友電工前川製作所と共同で、金属の一種ビスマスを含む高温超電導素材を使ったケーブル
を開発。同変電所にある3台の変圧器のうちの1台から、変電所外に電気を供給する設備までの約240メートル
をこのケーブルで接続した。同変電所が電気を供給する約16万世帯のうち、3分の1に超電導ケーブルを経由
した電気を供給することになる。

ケーブルは2重のステンレス製断熱管で覆い、内部にはマイナス約200度の液体窒素を循環させて超電導状態
を維持。送電線そのもののエネルギー損失は従来型の銅線に比べ20分の1となった。実験段階のため、液体
窒素の温度を保つ冷凍機の負荷も含めた全体の損失は従来型とあまり変わらないが、冷凍機の改良で従来の
半分程度に損失を減らせるという。