放射性物質検出器(Ge半導体使用の場合)

固体でも液体でも、その中にある放射性物質を検出する機器は、大別して
二つの機器があります(最先端のものだとプラズマ使用などもあります
が、これは仕組みがよくわからないし放射性物質放射線を測定するもの
ではなく、組成元素そのものを測定する上、高価なので除外)。

ゲルマニウム半導体使用機器
・ヨウ化ナトリウム使用機器

です。これは、検出器部分にゲルマニウム半導体を使用しているかヨウ化
ナトリウムを使用しているかの違いですが、この違いで、全体のつくりまで
違ってきます。

まず、ゲルマニウム半導体使用機器(こちらのほうが私はよくわかるのですが)

ゲルマニウム半導体は、「一定の条件下であれば」かなり微弱な電流を流す
ことができ、約2eV(エレクトンボルト、1Vの電圧で電子1個を加速したとき
のエネルギーが1eV)のエネルギーで電流が変化します。それに完全に近い
遮蔽体をつけてやれば、0.025ベクレル/kgくらいまで測定できます
(実際私が液体の測定依頼をしたときも、0.025ベクレル/kgを検出限界値にして
お願いしました。1秒間に1個の原子が崩壊してエネルギーを出すのが1ベクレル
なので、0.025ベクレルだと40秒間に1個の原子が崩壊してエネルギーを出す
イメージでしょうか)。ヨウ化ナトリウム使用機器の50倍の分解能です。

この遮蔽体が、内側から、銅1ミリメートル、カドミウム1ミリメートル、鉛
10センチメートル、あとは外装になります。10センチメートルの鉛で検出器
部分以外ほぼ全部覆われているわけですからかなり重いです(鉛の1立方センチ
メートルの重さは11.3グラム)。
「一定の条件下であれば」と書きましたが、これは検出器部分、つまりゲルマ
ニウム半導体を冷やしてやらないと微弱な電流が流れないためです。液体窒素
で-120〜-150度に冷やします。
これだけ大掛かりなわけですからメリットがないとダメなわけで、先にも書いた
検出限界値をかなり低くできること、放射性セシウム以外の複数の核種も弁別し
定量できます。
長くなりましたのでヨウ化ナトリウム使用機器は別記事に分けます。