大飯原発で地震動再計算 元委員の指摘受け 規制委

(06/20 18:57 時事通信配信)

原子力規制委員会20日、審査中の関西電力大飯原発福井県おおい町)で、想定する地震の揺れ(基準地震動)を
再計算することを決めた。元委員長代理の島崎邦彦東京大名誉教授が過小評価の恐れがあると指摘していた。結果次
第では、審査手法の見直しにつながる可能性もある。

島崎氏は規制委の田中俊一委員長らと16日に面談し、大飯原発の基準地震動を求める際に使われた震源の大きさを推定
する予測式「入倉・三宅式」に問題があると説明。垂直や垂直に近い断層面を持つ活断層に適用すると、震源の大きさ
が過小評価され、基準地震動も小さくなる傾向があると指摘し、別の予測式を使った再計算を提案していた。

20日の定例会合で、地震の審査を担当している石渡明委員は再計算について「すぐにお願いしたいと思っている」と明言。
田中委員長も「ぜひ事務局に評価していただくようお願いする」と述べた。

事務局の原子力規制庁は別の予測式を使って大飯原発の基準地震動を再計算し、規制委に報告する。入倉・三宅式は、審
査に合格した関電高浜原発福井県高浜町)や審査中の九州電力玄海原発佐賀県玄海町)の基準地震動の計算にも使わ
れている。

田中委員長は会合後の定例記者会見で「やや例外的に受け入れた」と説明。再計算後の対応については「結果次第だ」と
明言せず、現在の審査はかなり安全側に立って行われていると述べた。