原発避難で死亡、東電に賠償命令 双葉病院の患者遺族に3100万円 東京地裁

(04/27 17:20 時事通信配信)

東京電力福島第1原発事故で、避難中に適切な医療行為を受けられず死亡したとして、福島県大熊町の双葉病院に
入院していた患者2人の遺族が、東電に計約6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。
中吉徹郎裁判長は「事故で過酷な環境にさらされ、脱水症状などに陥り死亡した」と述べ、東電に計約3100万円の
支払いを命じた。

双葉病院と系列の介護施設では入院患者50人以上が死亡したとされる。うち7人の遺族が東京地裁に提訴しているが、
判決は初めて。遺族側の弁護士によると、ほかに福島、千葉両地裁で和解したケースが2件あるという。

中吉裁判長は、搬送を待つ間に脱水症状となり、長距離のバス移動で状態が悪化し死亡したと指摘。一方、賠償額は
事故前の疾病による影響を認めて2〜4割を減額した。

東電側は、避難と死亡との因果関係は認めた上で、金額面で争っていた。

判決によると、双葉病院を含む原発の半径10キロ圏内に避難指示が出されたのは2011年3月12日早朝。当時98歳と73歳の
男性患者は16日未明までに救出されたが、搬送先の病院などで同日死亡した。