「海底処分場」設置を模索 高レベル放射性廃棄物 経産省

(01/26 18:13 時事通信配信)

経済産業省は26日、原発の使用済み核燃料の再処理で生じる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する
有識者研究会を開き、沿岸部の海底地下に処分場を設置する場合の技術的課題の洗い出しに着手した。夏ごろまでに
課題を整理する。経産省は、最終処分場として科学的に有望な地域かどうか日本の国土を3段階に分類した地図を、
年内にも提示する方針だ。

海底地下の処分場は、設置に際し地権者との調整が不要だが、陸地と違って海水流入などの影響を精査する必要が
ある。経産省は海底処分場の実現可能性を模索し、難航する核のごみ問題の解決につなげたい考え。

同省は、核燃料再処理工場を建設中の青森県六ケ所村から最終処分場に核のごみを運ぶには、安全面から海上輸送
が最適だとみており、最終処分場は港湾に近い沿岸部への設置が望ましいと判断している。科学的に有望かどうかの
分類は、近くに火山や活断層がないことなども勘案して決める。

陸地への最終処分場設置では、地権者との交渉が難航する可能性があり、経産省は海底地下への設置を視野に入れて
いる。ただ同省は26日の研究会で「さまざまな選択肢の一つとして客観的に情報を整理する」と説明し、海底処分場
設置の方向が定まったわけではないことを強調した。

海底地下に処分場を設置する場合は、廃棄物の海洋投棄を規制する国際条約に抵触しないよう、陸地に地上施設を建設
し、海底までトンネルでつなぐ方式が想定されている。研究会は今後、地上施設が津波被害を受けたり地下施設の工事
中に海水が流れ込んだりする可能性などを精査する。

高レベル廃棄物の処分事業を担う原子力発電環境整備機構は同日の研究会で、海岸から10〜15キロ程度の海域が処分場
設置の目安になるとの考えを示した。