検査で全容分からず もんじゅ不備で報告命令 規制委

(09/30 16:11 時事通信配信)

多数の点検漏れがあった日本原子力研究開発機構高速増殖炉もんじゅ」(福井県)で、新たに機器の点検頻度などに関わる
「安全重要度分類」に誤りが見つかった問題で、原子力規制委員会は30日、9月3日から現地で行った保安検査で全容を把握でき
なかったとして、原子力機構に対し、10月21日までに報告書を提出するよう命じた。

田中俊一委員長は「運転管理の資質にも関わっていると考えざるを得ない」と指摘。報告書の提出後に原子力機構の児玉敏雄
理事長を呼び、事情を聴くことを決めた。

重要度分類は、機器や設備を安全確保の上で重要なものから分類し、最も重要なクラス1機器は点検頻度を増やすなどの対応を定め
ている。もんじゅでは今年3月の保安検査で、クラス1配管の点検不備が発覚。原子力機構が再確認した結果、約3000機器で重要度
分類自体が誤っていたことが分かった。

規制委は9月からの保安検査で、分類を誤った機器の数や、ミスが生じた理由などの聞き取りを行ったが、原子力機構の集計や経緯
の調査が間に合わず、全容を把握できなかったという。

30日に開かれた規制委の定例会合では、各委員から批判が続出。更田豊志委員長代理は「極めて異様な、奇っ怪な報告。保安検査で
十分な確認ができず、報告命令を出さざるを得ないというのは、保安院時代も含めておそらくないのでは」と述べた。

原子力機構は「重く受け止めている。理事長も陣頭指揮を執って対応し、引き続き安全最優先で改善活動に取り組んでいく」との
コメントを出した。