残留汚染水、7000トン 除去未対応、漏洩の恐れも 福島第1

(07/20 15:28 時事通信配信)

東京電力福島第1原発の海側にある2、3号機トレンチ(ケーブルなどの地下トンネル)で、高濃度の放射能汚染水を抜き取る作業が
進められている。今月中には、おおむね完了する見通しだが、第1原発で汚染水がたまっているのに抜き取りが行われていないトレ
ンチなどは20日時点で、少なくとも16カ所に上る。計約7000トンの汚染水が地下に漏れ出す危険がある。

東電によると、第1原発では高濃度の汚染水がたまっている原子炉建屋やタービン建屋以外にも、トレンチやダクトと呼ばれる管、
ピットと呼ばれる管理用の穴などに汚染水がたまっている。

中には、タンクに保管されている汚染水と比べても放射性物質濃度が高い所があり、最大でセシウム134は1リットル当たり990ベク
レル、セシウム137は同3200ベクレルに上る。東電が敷地内で排水する際の暫定基準値の60倍以上だ。

こうしたトレンチやダクトなどは、もともと水をためる設備ではなく、タンクに比べて漏洩の危険が大きいが、東電の巡視・点検は
年1回にとどまる。

原子力規制委員会は、2、3号機トレンチにたまった汚染水の濃度が極めて高いことや、海に近いため流出の危険が高いことなどを問題
視。東電に早急な抜き取りを求めた。

他のトレンチやダクトなどの汚染水は、2、3号機トレンチに比べると濃度が大幅に低く、場所も海から離れている所が多い。ただ、十分
な監視がされておらず、漏れてもすぐに把握するのは難しい。