首相意向重視、無理な工程 「後退目標」も達成できず 遠い汚染水の浄化・福島第1

(1/23 16:40 時事通信配信)

東京電力の広瀬直己社長が23日、福島第1原発放射能汚染水の浄化について、目標の達成断念を表明した。安倍晋三首相の
意向を受け、3月末までの全量浄化を約束していたが、汚染水対策が困難を極める中、そもそも無理な工程となっていた。
 
広瀬社長は、達成が5月にずれ込むとの見通しを示したが、放射性物質を大幅に減らす装置「ALPS」(アルプス)で未処理の
汚染水はある程度残るのは確実で、浄化完了はさらに先になりそうだ。
 
目標設定のきっかけは東京五輪の招致活動だった。安倍首相は2013年9月、福島第1原発事故の影響への懸念を払拭するため、
「状況はコントロールされている」と発言。現実には汚染水漏れなどトラブルが相次ぎ、強い批判を浴びた首相は東電に対し、
タンクなどにたまった汚染水の浄化処理の加速を求めた。