2回目の検査で「子ども4人に癌の疑い」

(12/25 19:09 NHK配信)

東京電力福島第一原発の事故のあと福島県が行った子どもの甲状腺検査で、1回目の検査で「問題がない」と判定された人の
うち4人について、県の専門家の会議はことし行われた2回目の検査で、癌の疑いが見つかったと発表しました。
専門家の会議は「被曝線量が大幅に低いとみられることなどから、これまでの検査結果と同様に現時点で放射線の影響とは
考えにくい」と述べたうえで、症例が少ないため引き続き慎重に調べることにしています。

原発事故を巡って福島県は、事故で放出された放射性ヨウ素が子どもの甲状腺に蓄積すると癌を引き起こすおそれがあると
して、事故当時18歳以下だった38万人余りの子どもを対象に継続的に甲状腺の状態を調べる検査を行っています。

事故のあと行われた1回目の検査では、108人に癌や癌の疑いのあるという検査結果が出ていますが、福島県がつくる専門家の
会議が25日午後、福島市で会合を開き、1回目の検査で「問題がない」とされた、当時6歳から17歳の男女4人について、ことし
4月から始まった2回目の検査で癌の疑いが見つかったと発表しました。

この4人について、県の専門家の会議では、▽被曝線量が大幅に低いとみられることや▽放射線量の高い特定の地域に集中して
見つかったわけではないことなどから、これまでの108人の検査結果と同様に「現時点で原発事故による放射線の影響とは考え
にくい」としています。

また、検査器具の性能の問題などで1回目の検査で癌の疑いを見落としていた可能性も否定できないという考えを示しました。
そのうえで「症例が少なく、子どもの甲状腺癌の発生のメカニズムに分かっていない部分も多い」などとして引き続き慎重に
調べることにしています。

甲状腺検査とは

東京電力福島第一原発の事故を受け、福島県は住民の被曝の影響を調べる調査の一環として、事故の7か月後から甲状腺検査を
行っています。

対象は、当時の年齢で18歳以下だった人と、事故後1年間に産まれた子ども、合わせて38万人余りで、20歳までは2年ごと、それ
以降は5年ごとに繰り返し検査を行う計画です。

これまでに検査を受けたおよそ30万人のうち、今回の4人を含む112人に癌や癌の疑いが見つかっています。
これについて検査を行っている福島県立医科大学は、チェルノブイリ原発の事故と比較して、▽被曝線量が大幅に低いとみられる
ことや▽癌が見つかった子どもの年齢の層が異なっていること、それに▽原発事故のあと、国内の別の複数の自治体で行われた調査
と比べて癌が見つかった確率がほぼ変わらないことなどから、「現時点で原発事故による放射線の影響とは考えにくい」としています。