宙に浮く学校保管汚染土 中間貯蔵施設の搬入対象外 県反発、環境省対応検討・福島

(10/29 02:37 時事通信配信)

東京電力福島第1原発事故の除染で出た廃棄物の中間貯蔵施設をめぐり、福島県内の小中学校、幼稚園などで保管している
放射能汚染土が搬入対象から除外され、扱いが宙に浮いていることが28日、明らかになった。環境省が、放射性物質汚染
対処特別措置法施行(2012年1月)以前に行われた学校除染の廃棄物を同法の適用対象とみなしていないためだ。県は「除染
の実施時期で扱いを区別するのはおかしい」と反発、搬入を認めるよう求めている。

県内の除染は、特措法に基づき、第1原発から20キロ以内の旧警戒区域など放射線量の高い地域は環境省が直轄で行い、それ
以外の地域は各市町村が実施。それに伴う汚染土や廃棄物は、同法が定める中間貯蔵施設に搬入されることになっている。

県は、小中高校や幼稚園などで施行以前に行われた除染の廃棄物も、中間施設に運び込める仕組みをつくるよう繰り返し要望
してきたが、環境省は「特措法に基づく搬入対象に直ちに該当するものではない」と態度を留保。10月中旬に開いた県の課長
クラスとの非公式会合でも、同様の見解を示した。

除染や廃棄物の搬入にかかった経費は、最終的に国が東電に負担を求める仕組みになっており、学校などの汚染土も中間貯蔵
施設に運んだ場合、東電の費用負担が大きく膨らむことも背景にあるとみられる。こうした状況に、県内では「子供が安心して
学べる環境を国が責任を持って整えてほしい」(福島市幹部)との反発が出ている。環境省幹部は取材に「法律上は搬入対象に
入っていない。ただ、特措法の前か後かで廃棄物の中身が変わらないとすれば、入れないのは非合理な部分もある」と述べ、
今後省内で検討する考えを示した。