福島中間貯蔵で「地上権」設定 売却後の住民登録維持も提案 政府

(7/28 20:42 時事通信配信)

東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設用地をめぐり、政府は28日、従来方針の買収だけでなく、
土地の所有権を住民に残したまま国が建物を造って利用できる「地上権」を設定する方針を決めた。石原伸晃環境相根本匠復興相が東京
都内で、福島県佐藤雄平知事、建設候補地の同県大熊町の渡辺利綱、双葉町の伊沢史朗両町長と会談して提案、施設の受け入れに理解を
求めた。

政府は従来、施設を安定的に運営するため、原則的に建設用地を買収して国有化する方針を示していた。しかし地元から「先祖伝来の土地
に愛着がある」「国有化すると最終処分場になってしまう」などと所有権を手放すことに反対する声が出ていることを受け、方針を改めた。

政府側はまた、建設候補地の住民が国に用地を売却した後も、現在の住民登録を維持できるようにする方針も提示した。さらに、関連法を
改正し「中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講じる」ことを盛り込むとともに、汚染土の搬入
開始は改正法の施行後とする考えも伝えた。

これに対し、佐藤知事は会談で「用地の取り扱いは、地元の意向を踏まえ検討してくれたものと理解する」と一定の評価を示した。

一方、政府は、焦点となっている地域振興策などに活用できる交付金の規模の提示を見送った。このため、佐藤知事は「施設の設置者として
の責任を持って、具体的に示すよう求める」と要請した。