NHK、脱原発テーマに難色 大学教授がラジオ番組降板

(01/30 13:16 時事通信配信)

NHKラジオ第1放送の番組に出演予定だった東洋大の中北徹教授(62)が
原発事故のリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などと話す
意向を事前に伝えたところ、担当ディレクターから「東京都知事選の期
間中はやめてほしい」と難色を示され、テーマの変更を求められていた
ことが30日、同教授への取材で分かった。中北教授は同日朝の出演を拒
否し、番組を降板したという。

番組は午前5〜8時の「ラジオあさいちばん」。中北教授は「ビジネス展望」
のコーナーでコメントする予定だった。

中北教授によると、29日午後にシナリオを作成しディレクターに送付。原発
の稼働コストが上昇し、石炭や石油による発電コストと差が縮小しているほ
か、事故の発生確率を減らしても、1件当たりの損害額が巨額になる点を経済
学者の観点から話すと伝えた。

これに対し、ディレクターは「有権者の投票行動に影響を与える」「(脱原発
は)選挙が終わってから扱ってほしい」などと答え、テーマの差し替えを求め
てきたという。中北教授は「特定の立場に立っていない」と主張したが、受け
入れられなかったとしている。
中北教授は「長年出演してきたが、こんなことを言われたのは初めてだ」と話
している。

NHK広報部の話 意見が対立する問題を扱う場合、双方の意見を伝えるなど公平
性を確保するよう努めている。今回の番組では演出上そうした対応を取ることが
困難だったためテーマの変更を求めた。