見えぬ放射線、写真で表現 被災地の土などで感光、作品展 札幌


東京電力福島第1原発事故による放射能の影響を「視覚化」した写真展
を開いているフリーカメラマンの野口隆史さんと作品。写真は福島県浪江
町の津島小学校 24日夜、札幌市中央区

(10/25 16:51 時事通信配信)

東京電力福島第1原発事故で周辺地域などに広がった放射能の影響を、目に
見える写真という形で表現したい。札幌市のフリーカメラマン野口隆史さん
(53)が、昨年12月から今年2月にかけて福島県の被災地で採取した土や落ち
葉などを利用し、放射線の「視覚化」に成功。芸術性も兼ね備えた作品13点
を札幌市のギャラリーで展示し、話題を呼んでいる。27日まで。

東日本大震災以降、たびたび福島県を訪れている野口さんは、セシウムなど
から出る放射線にフィルムを感光させる力があることに着目した。
 
浪江町飯舘村などの被災地で撮影したフィルムを、現地で採取した土や落ち
葉、木の実、コケ類と一緒に密封。暗所で1カ月程度保存してから現像してみると、
写真に放射線の影響とみられる白い斑点や黄、青、緑などさまざまな色の感光
の跡が現れた。札幌市内で採取した土などでも試したが、変化はなかったという。
 
「科学的な分析まではできていないが、これが放射線の影響だということを目
で見て感じてほしい」と野口さん。来年早々には、知人のいるオーストラリア
シドニーなど、海外での展示も計画しているという。