「設置」5カ所、突然に 大熊、楢葉に中間貯蔵施設案

(9/28 10:47 福島民友新聞配信)

東京電力福島第1原発事故による汚染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐり、環境省
27日に大熊、楢葉両町の、それぞれ5カ所に配置することを唐突に示した基本方針は、両町
の住民らに波紋を広げた。施設の設置が現実味を帯びる状況となり、調査候補地周辺の住
民は今後の成り行きを心配した。

一方、伊沢史朗町長が事前調査の受け入れを正式表明した双葉町の住民も心中は複雑だ。

会津若松市仮設住宅に暮らす大熊町の秋本正夫さん(73)は「町のどこに建設するのか
分からないが、5カ所でも6カ所でも造ってしまえば同じ」と冷ややかに受け止めた。
秋本さんの自宅は同町小入野にあり、周辺地区に環境省の事前調査が入ったような話も耳
にした。「調査と建設は別というが、調査するということは建設を決めている。中間貯蔵
というが、その後の最終処分を受け入れる場所があるだろうか」と危惧した。一方で
「できれば造ってほしくないのが本音」と打ち明けた。

楢葉町の松本幸英町長は「町の主張は変わらない。中間貯蔵施設ならば議論する余地はない」
と従来の主張を繰り返した。町は町内で発生した1キロ当たり10万ベクレル以下の廃棄物や
土壌などに限って受け入れる「保管庫」の必要性は認め、「保管庫」を前提に事前調査を
受け入れている。
 
大熊町の渡辺利綱町長は「5カ所」という設置箇所数が示されたことに「初めて聞く話で
コメントのしようがない。どうして突然、5カ所という話が出てきたのか。地元との協議
など順序を踏むべきだと伝えているのだが」と話した。