セシウム検査で判明した子どもの体内被曝の深刻度〈週刊朝日〉

検査における検出限界値が(この記事からは)明らかではありませんし、参考程度に
という趣旨で転載します。ちなみに筆者の家族全員が検査を受けたときの検出限界値
は、0.026ベクレル/リットルでした。

また、『遺伝子組み換え』になぞらえてのコメントがありますが、遺伝子組み換えは
異なる種のものの遺伝子を人工的に組み込んで、種の違いを超えた品種を作り出すもの
(例えば一定の除草剤に強い作物等を作る)であり、放射線被曝によって切断された
DNAの二本鎖が間違って修復されることとは違いがあります(二本鎖のうち、一本のみ
切断の場合はまだ正確に修復される可能性が高いとされています)。

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(9/26 dot. 07:12配信)

関東15市町で実施されている最新検査で、子どもたちの尿の7割からセシウムが検出
されていたことがわかった。ジャーナリストの桐島瞬氏は、その被曝の深刻度を明ら
かにする。

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入手したショッキングなデータをまず、ご紹介しよう。常総生活協同組合茨城県
守谷市)が、松戸、柏、つくば、取手など千葉、茨城の15市町に住む0歳から18歳
までの子どもを対象に実施した尿検査の結果である。

「初めの10人を終えたとき、すでに9人からセシウム134か137を検出していました。
予備検査を含めた最高値は1リットル当たり1.683ベクレル。参考までに調べた大人
は2.5ベクレルという高い数値でした。いまも検査は継続中ですが、すでに測定を
終えた85人中、約7割に相当する58人の尿から1ベクレル以下のセシウムが出ています」
常総生協の横関純一さん)

検査を始めたのは、原発事故から1年半が経過した昨年11月。検査対象全員の146人を
終える来年明けごろには、セシウムが検出される子どもの数はさらに膨れ上がっている
だろう。

セシウム134と137はウランの核分裂などにより生じ、自然界には存在しない物質だ。
福島から近い関東の子どもたちが、原発事故で飛び散ったセシウムを体内に取り込ん
でいるのは間違いないだろう。副理事長の大石光伸氏が言う。

「子どもたちが食べ物から常時セシウムを摂取していることが明らかになりました。
例えば8歳の子どもの尿に1ベクレル含まれていると、1日に同じだけ取り込んでいると
言われます。内部被曝しきい値はないので、長い目で健康チェックをしていく必要が
あります」

関東だけではない。放射能汚染による体内被曝が、東海や東北地方にまで及んでいること
も分かった。福島を中心に200人以上の子どもの尿検査を続けている「福島老朽原発を考え
る会」事務局長の青木一政氏が、実例を挙げて説明する。

「昨年11月に静岡県伊東市在住の10歳の男児、一昨年9月には岩手県一関市在住の4歳の
女児の尿からセシウムが出ました。この女児の場合、4.64ベクレルという高い数字が出た
ため食べ物を調べたところ、祖母の畑で採れた野菜を気にせずに食ベていたのです。試し
に測ってみたら、干しシイタケから1キロ当たり1810ベクレルが検出されました」

食品に含まれる放射性セシウムの基準値は、1キログラムあたり一般食品100ベクレル、牛乳
と乳児用食品50ベクレル、飲料水と飲用茶10ベクレルだ。ただし、基準そのものに不信感を
持つ消費者も多い。検査もサンプル調査だから、東日本の食材を敬遠し、なおかつ1ベクレル
でも気にする風潮につながっている。

体内にセシウムを取り込むと、どういう影響が出るのか。内部被曝に詳しい琉球大学名誉
教授の矢ケ崎克馬氏が解説する。

セシウムは体のあらゆる臓器に蓄積し、子どもの甲状腺も例外ではありません。体内で
発する放射線は細胞組織のつながりを分断し、体の機能不全を起こします。震災後、福島
や関東地方の子どもたちに鼻血や下血などが見られたり甲状腺がんが増えているのも、内部
被曝が原因です。怖いのは、切断された遺伝子同士が元に戻ろうとして、間違ったつながり
方をしてしまう『遺伝子組み換え』で、これが集積するとがんになる可能性があります」

矢ケ崎氏は、尿中に含まれるセシウム137がガンマ線だけ勘定して1ベクレルだとすれば、
ベータ線も考慮すると体内に大人でおよそ240ベクレルのセシウムが存在し、それに加えて
ストロンチウム90もセシウムの半分程度あるとみる。

体に入ったセシウムは大人約80日、子ども約40日の半減期で排出されるが、食物摂取で体内
被曝し、放射線を発する状態が続くことが危険だと言う。

常総生協が昨年度、食品1788品目を調査した資料がここにある。結果を見ると、280品目から
セシウムが検出されていた。米74%、きのこ63%、お茶50%、それに3割近い一般食品にもセ
シウムが含まれていたのだ。

週刊朝日  2013年10月4日号