原発被災者「集団移住を」 相馬藩主子孫「国替え」呼び掛け

(4/27 14:49 時事通信配信)

東京電力福島第1原発事故で避難生活を強いられている福島県東部の住民に、集団移住を呼び
掛けている人がいる。かつて同県相馬市、南相馬市浪江町双葉町などを領地とした旧相馬
中村藩主の子孫で、第34代当主の相馬行胤さん(38)。3月末に家族5人で移住した広島県神石
高原町で、「ふるさとに戻れない人、仕事に就けない人と一緒に、文化や郷土愛を継承していき
たい」と、新天地でのコミュニティー再生への思いを語った。

北海道大樹町に住んでいた相馬さんは震災前、先祖ゆかりの相馬市でシイタケ栽培会社を営んだり、
伝統行事「相馬野馬追」で総大将を務めたりと、福島の振興に貢献してきた。震災後も頻繁に福島
入りし、被災者支援を続けるうちに、「生活の場を追われた皆さんと、新しい土地で仕事をしたい
と思うようになった」と話す。

移住を呼び掛けているのは、自宅が居住制限区域に指定されている人々。既に個人的なつながりで
20〜30家族、約100人を神石高原町の振興に携わるNPO法人の関係者に紹介し、一部は同町での仕事
探しを始めているという。

相馬さんは、関東からの「国替え」で福島へ移った相馬家の歴史を引き合いに、「新しいところへの
移住は、自分たちのDNAとして残っているのでは」と話す。居住先の北海道も検討したが、避難者の
意見を踏まえ、温暖な中国地方に目を付けたという。

山間部にある過疎地域の神石高原町は、全国から就農意欲のある人に転入してもらい、農業を活性化
させる取り組みを展開中。牧野雄光町長は「来ていただくのは大変ありがたい」と歓迎する。町営
住宅提供などで移住者を支援し、神石高原版の「野馬追」開催など、新たな観光振興策も検討する
という。