歯とストロンチウム・続編

正式な報告書が届いたところ、単位が違っていたので確認しなおし、
結局こちらの間違いということで記事を訂正します(ついでに担当
の方の名前も間違えてた・・何を聞いてたんだ・・)。

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「歯とストロンチウム」の記事内に、わずか300mgの歯1本の組成分析が
できる、と書いた以上、「できること」を証明しないと意味がないので、
ちょうど約300mg、歯科治療の経歴・投薬歴無し、持病無しの歯が1本入手
できた(近親者の歯です)ので、分析機関に組成分析を依頼していました。

中間報告、のような形式で電話にて報告があり(正式な報告書は後日との
ことでした)、「(ストロンチウム90のみの分析は試料の少なさから難しい
だろうと思ったので)ストロンチウムの含有量分析をお願いします」という
依頼に対し、「ストロンチウムは100mg含有されていました」とのこと。

ということは、

人間の体内に摂取されたカルシウムのうち99%は骨に沈着し、1%は歯に沈着
するので、ストロンチウム(非放射性のものも含め)もカルシウムと同様の
動向をするとなると

1%=100mg
100%=10000mg

10000mg-100mg=9900mg

ストロンチウムのうち、骨に沈着するのは、9900mgに(計算上)なるわけです。

そして、個人でこのような微細分析を依頼するのは非常に珍しかったのか、

「差し支えなければどのような目的で分析をご依頼されたのでしょうか」

と聞かれたので、

「ご存知の通り原発事故がありまして、内部被曝ではガンマ線放出核種を
測定するのは比較的簡単ですが、ベータ線放出核種は難しいので、ベー
タ線を放出する元素を分析できれば、と思いまして」

と答えたところ、いったん電話を切った後、折り返し電話を下さいました
(律儀な人・・どうもありがとうございます、Y様)。

「担当者に確認したのですが、ストロンチウム86、87、88は検出されてい
ますが、これらの比率は天然ストロンチウムと同等比のため、ストロン
チウム90は無いと考えてよいのでは、ということです」

とご丁寧な回答を下さいました(ちなみにストロンチウム86、87、88は
放射性同位体ではありません)。

というわけで。

ベクレル単位での測定をしなくとも、元素分析でもある程度わかる、という
一例です。

追記− 天然ストロンチウムの存在比は、ストロンチウム84が0.56%、86が
9.86%、87が7.0%、88が82.58%です。これら全て放射性同位体ではありません。