米、六ケ所再処理工場に懸念 プルトニウム増加止まらず

(4/14 04:10 朝日新聞デジタル配信)

原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す青森県六ケ所村の再処理工場の稼働について、米国が
「懸念」を日本に伝えてきている。原発が動いていない現状では核兵器に転用できるプルトニウムが増え
るばかりで、オバマ政権が力を入れる核不拡散に逆行するからだ。

非営利の報道機関センター・フォー・パブリック・インテグリティー(CPI、米ワシントン)と朝日新聞の共同取材
でそうした実情が浮かび上がった。

「テロリストの格好のターゲットだ」

10月の完成を目指す六ケ所再処理工場は、年800トンの使用済み核燃料を再処理し、8トンのプルトニウム
(うち核分裂性は5トン弱)を取り出す能力がある。これを原発で燃料として消費する予定だが、現在、
そのめどが立っていない。これとは別に、日本がすでに保有しているプルトニウムは44トン(同29トン)
あり、数千発の核兵器に相当する。

米エネルギー省のダニエル・ポネマン副長官は昨年4月、訪米した鈴木達治郎・原子力委員長代理(当時)
に「プルトニウムを消費する予定のないまま、再処理で新たな分離プルトニウムの在庫が増えることに
ならないか、大いに懸念を有している」と述べた。

ポネマン氏は原子力開発の推進派として知られ、日本の再処理にも理解があると思われていたため、日本側
の関係者を驚かせた。

2009〜12年に米国家安全保障会議NSC)で核不拡散担当だったジョン・ウルフスタール氏は取材に対し、
日本の現状について「当面の使用予定のないプルトニウム在庫を大量に持っている」と指摘。東京電力福島
第一原発事故後も日本が原子力政策を変えようとしない現状に触れ、「日本がこの3年間にプルトニウム
必要性を基本から考え直さなかったことに失望している」と話した。

同氏は「個人的には六ケ所を稼働させないほうがいい」との考えを示すが、それを米政府が求めても、日本
は受け入れず、米日関係が悪化するだけだとの見方がオバマ政権内では大勢を占めているという。また、日
本が再処理をやめても他の国々が核開発をあきらめる保証はない、との議論もあったという。

安倍政権が11日に閣議決定したエネルギー基本計画には「六ケ所再処理工場の竣工」が盛り込まれた。一方
で「プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮する」の文言もあり、米国側に配慮を見せた。

使用済み核燃料の再処理は、日米原子力協力協定に基づき、米国の同意が必要だ。日本は1988年に有効期
間30年の包括的な同意を得た。18年以降も同意が得られるか、日本の原子力関係者の一部は危機感を
募らせている。(ダグラス・バーチ=CPI、奥山俊宏)

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原子力協力協定〉 原子力の平和利用について、一定の条件の下で技術や設備、核物質を二国間でやりとり
できるようにするための協定。日本や韓国は、米国との同協定の規制の下で、米国から原子炉の技術を学び、
燃料の提供を受けてきた。このため、使用済み核燃料の再処理には米国の同意が必要。日本は1988年に包括
的な事前同意を米国から得たが、有効期限は30年。韓国は再処理の同意を米国から得られていない。