調査ロボ、続々投入 原子炉内の把握目指す 福島第1〔東日本大震災3年〕

(03/03 14:09 時事通信配信)

東京電力福島第1原発では1〜3号機が炉心溶融メルトダウン)を起こし、核燃料が
溶け落ちた。高い放射線量に阻まれ、原子炉内部の詳しい状況は把握できていない。
人が近づけない環境下ではロボット開発に期待が寄せられ、実際に現場に投入されて
きた。

2011年6月、国産ロボットが初めて2号機原子炉建屋に入った。千葉工業大などが開発
した「クインス」。同大の吉田智章上席研究員(39)によると、事故直後の3月下旬か
ら東電と連絡を取り、準備を進めた。原発内部の撮影や線量測定などを行うため、階
段を安定して上る試験などを繰り返した。

同年7月にはクインスが撮影した映像が公開された。吉田さんは「狭い場所に入ったり、
ドアを開けたりはできないが、ある程度は情報収集できた」と手応えを口にした。

12年4月、トピー工業(東京都品川区)の探査ロボット「サーベイランナー」が2号機
地下に投入された。幅51センチと小型で、格納容器下部などに接近しやすい。開発に
関わった津久井慎吾主幹(43)は「角度45度の狭い階段も上れるよう製作した」と説
明する。

1号機格納容器では13年11月、国のプロジェクトで開発したカメラ搭載の小型ボートを、
実証試験のため地下に投入。漏水や配管の破損が見つかった。ボートを動かすケーブル
処理装置を開発した日立GEニュークリア・エナジーの高取洋介技師(35)は「ケーブル
を巻く際、絡まないよう工夫した。全体をコンパクト化させるのも苦労した」と振り返
る。

格納容器の破損箇所を特定して補修すれば、溶けた燃料を安定的に冷やせる上、汚染水
の増加に歯止めをかけられる。ただ、破損箇所は複数の可能性が高く、汚染水などが障
害になり、ロボットでも情報収集が難しい。

現在も破損状況の把握などを目的に、水中を移動したり狭い場所を調べたりする複数の
ロボットの開発が進んでいる。東電はこの1年を「新たな段階へ進むための準備の年」と
位置付けており、ロボットにはさらに高い性能が求められそうだ。