「事故に学ぶ姿勢足りず」 新規制は「ハード偏重」 班目氏2〔東日本大震災3年〕

(03/02 16:03 時事通信配信)

―福島の廃炉作業は。
 
溶融燃料取り出しは30年でも無理。(作業員の)被曝を考えたらやめた方がいい。形状も
めちゃくちゃだし、高レベル廃棄物よりも危険。それを言うと進まなくなるから、長期計
画は曖昧にして30年後とかにしている。
 
―汚染水問題も進まない。
 
トリチウムは希釈して流すしかないと思うが、規制委がもっと先頭に立たないといけない。
放出限度を決めているのは規制委だから、説明責任がある。
 
原子力に対する自身の見方は変わったか。
 
事故からもっと学ばないといけないと考えている。学ばないまま忘れてしまっていいのかと。
いま原発を動かしても、あしたすぐ事故になるとは思わないが、学ばないのはひど過ぎる。

◇班目春樹氏略歴
 班目 春樹氏(まだらめ・はるき)
東京大大学院から東芝総合研究所を経て、75年に東大講師(原子力工学)、90年同教授。01年
から経済産業省総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会で委員などを歴任。07年の
新潟県中越沖地震では、被災した東京電力柏崎刈羽原発の調査・対策委員長を務めた。10年4月
に東大を退職し、原子力安全委員会の委員長に就任。12年9月の廃止まで務めた。