原子力機構から3300万円超 検討会専門家4人に研究費 規制委の申告対象外

(11/24 04:01 時事通信配信)

原発の新規制基準策定などのため、原子力規制委員会が設置した検討会に参加する外部の専門家の
うち、確認できただけで4人が、高速増殖炉もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する日本原子力研究開発
機構から2009年度以降、計3300万円以上の研究費を受け取っていたことが23日、時事通信が行った
情報公開請求などで分かった。
 
規制委は透明性の確保を目的に、専門家に対し電力会社などから受け取った資金の申告を求め、
ホームページで公開している。だが、原子力機構は電力会社ではないため、規制委の内規では一部
を除き申告対象になっていない。

研究費を受領していたのは、阿部豊筑波大教授と山口彰大阪大教授、東京大の越塚誠一、勝村庸介両教授。
阿部教授と山口教授は原発の新規制基準案を策定した検討会のメンバー。越塚教授は原発規制の制度整備
を話し合う検討会などに、勝村教授は中部電力浜岡原発5号機の海水流入問題の検討会に所属していた。

時事通信が入手した3大学の資料や原子力機構によると、内規で対象になれば申告が必要な09年度以降、
阿部教授は7件の研究で計1940万円以上、山口教授は3件で計約890万円を受け取っていた。越塚教授は
1件400万円弱、勝村教授は1件90万円余りを受領した。いずれも国が同機構を通じて提供した研究費は
含まれていない。
 
規制委は、もんじゅ直下の断層を調べる検討会や、原子力機構も運営する核燃料施設の新規制基準案を議論
する検討会の専門家には申告を求めているが、大半の検討会は対象外としている。
 
4氏は取材に「規制委の基準に従った」「申告すべきと認識していなかった」などと回答。事務局の原子力規制庁
は「原子力機構の規制に直接関わる検討会の専門家だけで十分」と説明するが、阿部教授らが所属した検討会
で議論された新規制基準の大半は、もんじゅにも適用される。
 
原子力機構は、原子力の利用や核燃料サイクル確立のための高速増殖炉開発などを目的とする独立行政法人
電力会社や原発関連企業などでつくる日本原子力産業協会の会員にもなっている。